道の駅 保田小学校附属ようちえん(鋸南町都市交流施設周辺整備)
観光や移住などの適地として脚光を浴びている南房総地域の玄関口として、東関東自動車道鋸南保田IC近くに位置する都市交流施設・道の駅保田小学校が、平成27年12月に開業し、地理的な優位性を活かしながら地方創生の拠点として一定の成果を挙げていた。「付属保田ようちえん」では、その道の駅に隣接する旧幼稚園等を活用して施設整備を行うことで滞在時間の拡大や町内の回遊性を高め、単なる交流人口に留まらない関係人口を創出する拠点を目指している。
施設は旧園舎と新設のバス停をつなぐ回廊「わっか」で囲われた「みまもり広場」を中心として、旧園舎内のショップ・飲食店・コワーキングスペース、バス待合所、屋外のフルーツガーデン、ドッグランを「わっか」がつなぐ構成となっている。ランドスケープデザインとして、旧園庭に植えられていたソメイヨシノの既存木を残して土地の記憶を継承する象徴として広場中央の焦点をつくった。その足元には、周囲の山の稜線に呼応するような、芝生の傾斜を利用した遊びスペースを設けた。これらはデザインワークショップを通して拾い上げた遊具設置を要望する住民の声を反映したものである。
植栽計画においては、「わっか」を巡ることで鋸南町のポテンシャルを感じられるような風景の連続を目指し、鋸南町の名所を想起させる頼朝桜(河津桜)・ナノハナ・フヨウのほか、第6次産業の振興の期待を表す果樹を要所に取り入れた。また、恵まれた暖かい気候を体現するデイゴ・シマサルスベリなどの暖地性植物をシンボルツリーとしてバス停からの入口付近に植え、訪れる人々に鋸南に降り注ぐ太陽の光を感じさせる風景を創出した。
- 名称
- 道の駅 保田小学校附属ようちえん(鋸南町都市交流施設周辺整備)
- 所在地
- 千葉県安房郡鋸南町保田724
- 規模
- 敷地面積:9,427.50㎡
- 竣工
- 2023年9月
- 主要用途
- 道の駅、都市交流施設
- デザイナー
- 忽那、山田、石田、仲山
【建築設計】遠藤克彦建築研究所・アトリエコ設計共同体
【写真】高橋海(mapo.)
【掲載】新建築 2023年11月号
- 受賞