ヌーヴェル赤羽台F街区
赤羽台団地は、旧日本住宅公団(現UR都市機構)により昭和37年に建設された大団地である。建物の老朽化に伴い、平成11年度から建替え事業がスタートした。F街区は最後の建替え街区である。
住民が親しんできた木々の記憶を継承しつつ、新旧住民が現代的に暮らしを豊かにできる「人々の営みが美しく見える新しい風景をつくる」ことを目指した。建築とランドスケープ、照明などに関わる人々が一堂に会したデザイン調整会議を通して、一体性と個性を両立させながら計画から実装までを共有し検討が進められた。敷地に点在するサクラやケヤキの大木やイチョウ並木など、団地誕生から歴史とともに育まれた木々を、建築の配置計画を調整しながら保存に努めた。イチョウ並木の一部は、樹木の根や葉張りに配慮し、本来ファサードがそろう予定の住棟を雁行して配置する計画に変更して保存されている。結果として、健全なイチョウ並木の保存ができたうえ、建物とランドスケープがつくる多様で変化のある風景が人々の使いこなす姿と共に誕生している。
求めてきたのは、団地全体で変化に富み、選択性が高く、使いこなしを支える屋外空間づくりである。イチョウ通り北側の広場空間では、夏の盆踊りや冬のイルミネーションなど各種イベントが開催される。敷地西側の区画には、住棟間に既存樹木を活用したデッキの滞留スペースやプレイロットが設けられ、親子の憩いの場となっている。敷地東側にはURまちとくらしのミュージアムがあり、旧東鳩ヶ谷団地で親しまれていた彫刻家流政之氏のファニチャーをパブリックアートとして展開した。日々の暮らしの中では思い思いに過ごせる居場所の一つとなるとともに、ミュージアム棟やスターハウスなどの保存住棟をつなぐ見学コースの一部として、街区全体がミュージアムとなるランドスケープを目指した。
既存の樹木やコミュニティー活動拠点、崖線沿いの環境等、記憶の風景をポイントとして残しつつ新しい場所を創るという行為を積み重ねてきた結果がヌーヴェル赤羽台の風景となっている。
- 名称
- ヌーヴェル赤羽台F街区
- 所在地
- 東京都北区赤羽台
- 規模
- 敷地面積約3.18ha 外構面積約2.26ha
- 竣工
- 2024年10月
- 主要用途
- 集合住宅
- デザイナー
- 忽那裕樹、山田匡、石原康宏、瀬野瑞季
- 受賞