E-DESIGN|Landscape design, Architectural design, Construction

堺自然ふれあいの森

計画条件として“多くの市民が豊かな自然を楽しみながら学ぶことができる里山公園づくり”が求められた中、「森の学校」と称し提案したのは、環境に対して多様な関わり方を可能にする最小限のしつらえを“きっかけ”として場所が形成されていくという考え方である。

「森の館」や「森の小屋」等の最小限の活動拠点を分散配置し、木道等によりネットワークさせる計画とした。また、“自然への熟度”という指標を想定し、森の奥へ行くほど段階的に高度な活動形態が展開される緩やかな活動領域を設定した。

このハーフメイド的な施設整備と緩やかな領域設定とがオーバーラップすることにより、自然環境の保全をベースとしながら森との新しいつきあい方が誘発され、そこで展開される人々の関わり方によって“風景が生成されていく”という、プログラムと一体となったデザインアプローチである。できる限り森に近づけて配置した「森の館」と、その屋上から木道に到るバリアフリールートが実現し“誰もが”気軽に自然にふれあうことが可能となった。

また、市民参画の観点から設置された委員会では、多様な主体の協働が可能な公開性と公平性をもつ“プラットフォーム型”ワークショップ方式で議論を行った。さらに、整備未着手の計画地において各種活動を実験的に実施し、必要に応じて計画の見直しを行う手法(順応型管理:アダプティブマネジメント)を提案し実行した。

これらのハード・ソフト両面の取り組みにより、“施設誘導型”に代わって“環境誘発型”の計画が実現し、保全と活用の両立が可能となった。現代的な視点によって再構築された関係性の中で、年月を経るごとに新しい里山風景を獲得できていると考えている。

名称
堺自然ふれあいの森
所在地
大阪府堺市南区畑1740番地
規模
17.2ha
竣工
2007.4
主要用途
里山公園
デザイナー
忽那裕樹、長濵伸貴、山田匡
受賞

PROJECT