E-DESIGN|Landscape design, Architectural design, Construction

公益財団法人 日本生命済生会 日本生命病院

 木津川の傍に2018年5月に開院した病院の公開空地約1600㎡を“ひとと医療、まちをつなぐ地域の庭”と位置付け、多様なリハビリテーション機能が風景の中に融け込み、四季を通じ五感で自然を楽しめる空間として計画した。

 庭を散策するように楽しく利用できる美しい風景に融け込んだリハビリテーション機能を意識し、日常動作のリハビリを楽しみながらできるように実生活の歩行環境に近い多様な舗装材や勾配の園路を計画、庭の散策がトレーニングに自然と繋がっている。また、園芸療法を想定したレイズドベッド花壇や五感を刺激する庭等のリハビリの仕掛けが風景に融け込んでいる。さらに、四季を通して自然の変化を感じられるイングリッシュガーデンとして長期入院する人が好きな場所を見つけられるように11個の庭を計画。いつも新しい発見があるように季節の変化に富んだ植栽(高木30種、低木地被90種)を導入し、院内のカフェからも自然を楽しめる空間とした。

 街区内で一体的な緑空間を創出し、連続性のある美しい緑の街並みを形成することにも力を入れた。南北約2.5mの高低差を自然な石積の連なりで庭に溶け込ませ、隣接するマンションの緑豊かな外構に連続するガーデンとして歩きたくなる街並みを形成している。さらに交差点と一体となった開放的な滞留空間が人と緑が寄り添う風景を街角に作りだした。そして、場所の記憶がひっそりと息づく設え

としてこの敷地にあった府庁舎に由来する大ケヤキや、工業技術研究所の石材を使った街角ベンチ等を密かに引き継いでいる。

 「街区内の府立文化施設、集合住宅と連携したアート&ライフスタイルへの取組」が大阪府からの土地取得条件であるため、病院内のカフェ、イベントホール等の地域貢献施設と街が庭を介して繋がるように一体的に設計した。現在、街区全体が催すイベント等で多くの人が庭を訪れ、まちを楽しむ試みがされている。

名称
公益財団法人 日本生命済生会 日本生命病院
所在地
大阪市西区江之子島2-1-54
規模
約1,600m²(公開空地部分)
竣工
2018年3月
主要用途
病院、庭園、公開空地
デザイナー
忽那裕樹、山田 匡
受賞
第8回みどりのまちづくり賞 大阪府知事賞

PROJECT