E-DESIGN|Landscape design, Architectural design, Construction

浅香山病院

浅香山病院は1922年から続く歴史ある病院である。敷地面積約9,000㎡の1Fランドスケープデザインと、3F屋上リハビリ庭園、4F緩和ケア庭園が主なランドスケープ計画である。

<1Fランドスケープデザイン>

雑木の森に浮かぶ病院をコンセプトに、緑の環境に支えられた病院らしさを感じさせない暖かみを持つ空間を目指した。「やわらかい緑に包まれた環境」、「ヒューマンスケールの庭」をポイントにまちに開かれた緑豊かな病院として機能している。

自主的に歩道を拡張したオープンスペースは、まちかどの緑と憩いの庭として患者と地域住民に利用されている。エントランスには彫刻家・和泉正敏氏の作品を配置し、自然の力強さを印象付ける石の彫刻が歴史ある病院の品格を演出する。見るだけではなく作品に触れ、待合機能も兼ねた実用的な前庭として設計した。ロータリーの舗装をアスファルトではなく、暖色系の半たわみ舗装とすることで病院の冷たいイメージを払拭し、ロータリーが庭の一部として浮かび上がっている。

<3F屋上リハビリ庭園:希望の広場>

回復期リハビリ病棟に併設されたリハビリ庭園。リハビリスタッフ、医師、看護師、病院関係者を集めたワークショップを重ね、協働しつくりあげた計画である。運動機能を高める様々な舗装環境を歩行するルート設定や多様な勾配を持つアップダウンコース、植栽の立上り全てが園芸療法に活用出来るレイズベッドの設えや菜園スペース。全てのデザイン要素にリハビリプログラムを潜ませた美しい庭園を目指した。

植栽は四季を演出する樹木の他、果樹や園芸療法に活用するハーブ類などを園路沿いに配置することで、1年を通して外に出るきっかけを生む植栽計画を行った。

<4F緩和ケア庭園>

緑の絨毯と広がり続ける背景の空が美しく見える“空のルーム”として計画。緩和ケア病棟のデイルームに面した屋上庭園はその人の人生と向き合い、穏やかな時間を過ごす空間を目指した。“ボランティアがもてなす花と空”、“空を映す石台とシダレザクラ”、“人のシルエットに切り取られた空”など移りゆく時間を感じさせる空と自然の現象が浮かび上がる庭となっている。

名称
浅香山病院
所在地
大阪府堺市
規模
敷地面積 約9,000m²
竣工
2015年8月
主要用途
医療施設
デザイナー
忽那裕樹、山田匡、中谷丞(元所員)、柴田塁斗(元所員)
受賞
第6回みどりのまちづくり賞

PROJECT